『品質と生産性』
企業には、付加価値を高め、利益(Benefit)の向上をし続ける使命がある。
品質は、ある意味、ネガティブな視点からの指標でもある。
品質面からの指標:不良率
生産性の面からの指標:直行率・歩留り率
つまり、品質改善(Quality Management)と生産性改善は相反するアプローチであるからである。
例えば、
品質を主導とすると、品質向上を図るため、検査工程を追加する。
そうすると、生産LTは延びるし、作業者の追加も必要になる。
不良流出は減るものの、コスト(L費、E費、B費)は上がり、加えて工程内不良率は上がる(M費の増加)かも?で、狙いの利益は減少する。
一方、生産性改善(Industrial Engineering)は、作業スピードを上げて直接人員を削減(固定費削減、L費)およびサイクルタイムを向上させ、
生産量を増大させることを行う。当然、不良に対しては”ボトルネック改善”として品質改善の取り組みは同時にされる。
なお、不良流出となると、これは品質改善というより企業使命:コンプライアンス的(信頼性や社会的信用)なものと捉えなければならない。
不良流出は、限りなく0に近づける取組は必然である。

上記から、筆者は、品質にしろ生産性にしろ、改善の取組はIE主導で行うべきと述べる。

生産性改善(IE)であれ、ボトルネックが品質要因となった場合のアプローチを以下に述べる。

改めて、品質を左右する要因は何?
・4M変化:業者や作業者の変更
・材料不良:原材料のバラつき
・組立不良:作業者の変化、作業し難い設計、作業間違え(工程入れ子・飛ばし・手順間違え)
・設計不良:想定外の使用

品質改善は、まずは、正常(清浄)な状態でできる環境を作ること。つまりは、2Sからスタートする。
一般的な手順は以下の通り。

■業務プロセス分析(Analyze)
Input:
 部品 変化を排除する。
Process:
 ボトルネック工程を明らかにした上で、以下の着目して要因抽出を行う。
 組立 手順通りに、規定のサイクルタイムで作業をする
 設備(自動化) 規定のサイクルタイムで完了させる
Output:
 既定の検査を規定のサイクルタイムで作業する

異常(ex.サイクルタイム以上や以下の作業)となった場合は、それを記録し、揺らぎや変化の要因を明らかにする。
例えば、
 サイクルタイムが【以上】になる工程→部品異常(ばらつき)や作業性の問題が内在
 サイクルタイムが【以下】になる工程→作業漏れやポカミスが内在

■改善(Improvement)
ターゲットを、ボトルネック工程に絞り、その工程のプロセス分析により、ボトルネック作業や不良に着目して、その真の要因に対してアプローチする。
改善の要否は、予め設定した基準値(KPI)により判断する。
★やたらと変化を起こすことは、新たな問題を引き起こしかねない事を認識する必要がある。
改善アプローチの具体的な方策は、以下のような事項が上げられる。
部品異常:部品業者の指導。作り難い構造であれば設計変更。
作業異常:組立性の改善。組立手順の変更。工程分割。場合によっては、部品や構造などの設計変更。
作業漏れ、ポカミス:正常作業であったことを示すマーキング。分かり難い作業の工程分割による可視化。
 *多くは、見えない部分(手探り作業)がその要因。

■さらなる改善の取組み
監視のためのKPIを見直し、ボトルネックを中心とした、さらなる生産性を向上させる改善に取り組む。


(T2)