『マネジメント・サイクル』
「マネジメント・サイクルは?」と問うと、P-D-C-Aを回すこと!と誰もが即答する。
では、「あなたの部署のマネジメントサイクルはどうなっていますか?」と問うと、
P:年初に、AOPを策定し、
D:実行計画に基き、実施し、
C:四半期毎に、レビューして進捗(達成状況)を確認し、
A:新たな課題があれば、それに取組み(改善)
を、・・・と、型どおりの回答が得られます。
でも、これって、1サイクルであり、『回っている』といえるのでしょうか?
また、『新たな課題は発見』できているのでしょうか?
更に、目標不達の場合は、『非常事態があって・・・』と、他責にしていませんか?
多くは、当初の計画を、決めた通りやり切って、結果オーライというのが実態です。
新たな課題は、目標達成のための課題でも何でもなかったのではないでしょうか?
そもそもが、実は、低い目標設定だった、もしくは、達成不可能か目標だったのではないでしょうか?
また、環境変化により、時代遅れの計画となり、やる意味がなくなった(やる気が起きない)ものだったのでは?
つまりは、マネジメント・サイクルと言いながら、P,Dしか実施していないのです。
ITにより高速な情報交換や環境変化が起きる時代に、良くて、1年で回るサイクルでは遅いのです。
また、課題も発見できないとは、出てくる成果物は、その時代(時点)にフィットするものにはなっていないはずです。

ISO9001(QMS:品質マネジメントシステム)も平たくは、PDCAを回すしくみといわれていますが、
実は、いくつかの細かいPDCAサイクルがあり、 *実行しながら、リスク・機会を評価する
それを、体系的に更に大きなPDCAサイクルとなっているのです。 実はOODAループ、もしくはリーンなのです!
しいては、それが「顧客満足向上」を図るマネジメントシステムとなっているのです。
前述した、時代遅れのアウトプットにならないように、2015年版から、リスクと機会(6.1)が追加されました。
残念ながら、実運用においては、
リスクと機会(6.1)は、品質目標策定(6.2)におけるの因子でしかなく、
リスクと機会を再評価するMR(9.3)にも生かされていないのがほとんどです。
何より、品質目標(業務目標)が、TOPから指示され、それを実行計画に落とすだけの日本的マネジメント(ex,業務計画制度)では、
リスクと機会も、明確に捉えられる訳がないと思いませんか?
なお、2015年版で「継続的な改善(10.3)」が、大きなPDCAの”A”なのですが、
これも、定義が曖昧なため、利用者任せとなっているのが実態です。 *規格策定で委員が疲れたのかもね ^^;

注釈に「OODAループ」などと今流行りの概念を示しましたが、
いずれにしても、ISO9001 2015年版は、良くできたしくみです。
規格の理解を深め、それを実践する価値は十二分にあります。

(T2)