品質マネジメントの根幹
マネジメントとは、組織の成果を得るためのしくみを運営することであり、その成果に責任を持つ者がマネジャです。
組織は大きくなるにしたがい、適切な範囲を設定し、それぞれに責任を持たせて、活動(パフォーマンス)を高めています。
組織・役割にあてはめてみると、適切な範囲が、”部・課”で、その責任者が”部長・課長”です。
それぞれの適切な範囲を機能的に連携するために、”プロセス(工程)”を定め、それを流れにする”フロー化”ということになり、その全体の責任者が、トップマネジメントです。
トップマネジメントは、そのしくみを活用して、果たすべき成果を出し続ける”責任”を負うことになります。

ところで、『Made In JAPAN』として各国において高品質と評価されていた日本企業において、相次いで、品質改ざん(不適切な対応)が発覚しました。
それらの背景(要因)は、[圧力・動機][機会][正当化]の不正のトライアングルと述べられています。

圧力・動機:納期のために、利益のために
機会   :組織の役割や立場を超えた判断
正当化  :提供する製品は大丈夫、これまでに不具合はないから

先の品質改ざんは、顧客と約束した試験・検査検査または法規制が要求している試験・検査検査を省略し、実施していない検査成績書を発行していたことで”不適切な、”となりました。
圧力・動機や正当化は、歴史や伝統、経験から、断ち切れない要素と思われます。
機会は、組織および職位に割り当てられた、責任・権限により、歯止めが欠けられるメカニズムになると思います。

ISO9001の規格では、プロセスを定め、それぞれに責任・権限を決定することが要求されています。
さらに、そのプロセスを遂行する上で、必要とする力量の確保も要求しています。
つまり、組織が本来の役割を果たし、その判定をする力量が備わっている状態を要求しているのです。
その状態が維持されていれば、不正のトライアングルを抑えることができたはずです。

先の不正の顛末の一つとして、認証機関への厳しい処置がされました。
要するに、不正のトライアングルを適正に審査できなかったという判断です。
今は、この程度でしたが、日本の総本山であるJABに及べば、冒頭の『Made In Japan』は過去の儚い歴史になりかねません。

「他山の石」とすることなく、今一度、組織の役割を見定め、さらには自身の役割・責任を振返る好機ではないでしょうか?

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